1年に1回、味噌を作っています。味噌作りのメンバーは、フードコーディネーター、カメラマン、デザイナー、ライター、編集者など本づくりを仕事としている仲間たちです。この仲間と味噌を作り続けて10年、美味しいものとお酒が好きな人が揃いも揃って、味噌仕込みの後の宴会も楽しみな恒例行事となりました。今年(2019年)は3月21日の春分の日、例年より半月遅い味噌仕込みでした。
味噌を仕込む前に、前年の味噌の出来栄えをチェックします。みんなで仕込んだ味噌をそれぞれが持ち帰って育て、1年後のこの日に、誰の味噌が一番美味しいかを選びます。不思議なことに味噌の出来上がり(色、味)は一人ひとり違います。保存場所やお手入れ、あるいはその年の気候によって差が出るのです。
■はじめてでも失敗しない味噌の作り方
⒊味噌仕込みのプロセス
⒈ 味噌の材料と分量
♦味噌の材料はたったこれだけです
・塩(粗塩)
大豆は北海道産を使用しています。北海道産といっても特別なものではなくスーパーなどで手軽に購入でき、値段は250〜300g入り300円くらい。大粒なものを選びます。
米麹を使います。生麹と乾燥麹がありますが、保存や扱いがラクな乾燥タイプで、私たちはいつも「みやここうじ」を使っています。
いわゆる粗塩(自然塩)を使います。塩の種類はたくさんありますが、あまり高価な塩でなくても大丈夫です。
♦作りやすい分量を紹介します
・塩 400g
この分量で作った場合は、最終的に約4kgの味噌ができます。
大豆は水で戻して茹でると約2.5倍に増え、大豆1kgが約2.5kgになります。大豆約2.5kgに麹1kg、さらに塩400gを加えると合計約3.9kgの味噌が出来上がるというわけです。
♦塩の分量は大豆+麹の重量の20%を基本にします
塩の分量=(大豆g+麹g)×20%
塩の分量は (1000g+1000g)×20%=400gとなります。
♦味噌づくりに慣れてきたら、分量の割合を変えて好みの味噌に仕上げましょう
味噌の味は一般に関東は辛め、関西は甘めが好まれます。
大豆と麹を1:1ではなく、麹を大豆より少し多くした場合は甘い味噌ができ、反対に大豆を多くした場合はコクのある味噌になります。
また、塩の量を増やすなど好みの辛さに仕上げるのもOKですが、減塩のしすぎには注意を。カビが発生しやすくなります。私たちがこれまで味噌を作ってきた経験から、今回紹介している20%の塩の量がぎりぎりではないかと思います。
2.味噌づくりに必要な道具
・ラップ、新聞紙、重石、消毒用アルコール
すりこ木にはすり鉢の組み合わせが一般的ですが、人数が多いので大きいボールを数個用意してすり鉢の代わりにしています。
これが意外に楽ちん。大豆が熱いうちは柔らかいので、簡単に潰れます。
3.味噌仕込みのプロセス
① 大豆は洗って、大きな鍋に入れてたっぷりの水に浸して一晩おきます。
茹で汁が少なくなったら何度か水を足し、大豆が茹で汁から顔を出さないように気をつけます。
麹はぽろぽろになるまでほぐします。
ほぐした麹に塩を加えてよく混ぜ合わせます。
大豆の茹で上がりの状態をチェック。親指と小指にはさんで潰せるくらいの硬さが目安です。
大豆が熱いうちに保存袋に入れ、ゴムベラなどを当てて押し潰します。
すりこ木の方が潰しやすい人はボールに入れて潰します。大豆の量が多い場合は、この潰す作業が一番大変です。
大豆を麹、塩に加えているところ。
まんべんなくよく混ぜます。
生地の硬さの目安は「耳たぶ」くらい。少し硬い場合は、④で取り置いた茹で汁を少量加えます。
注意:写真ではわかりやすいように、茹で汁を流すように入れていますが、加えるのはほんの少しで良いのです。(写真は10人分です)
生地を丸めて指を差し込んでみます。ひびが入らず、すーっと通る硬さならOKです。
保存容器を焼酎で拭いて消毒します。
ソフトボールくらいの大きさに丸めます。
容器の側面に投げつけるように生地を入れ、隙間なくしっかり詰めます。
空気を抜くように手でしっかり押さえながら、表面を平らにします。
ラップで表面を覆います。隙間がないようきっちりと覆うのがポイントです。
ラップの上に重石をかけます。私たちは塩を重石として利用しています。容器の大きさに合わせ塩以外で重石になるものを工夫しましょう。例えば水を入れたペットボトルでも代用できます。
容器に蓋がついている場合は、キッチンペーパーの上から蓋をします。
<ジッパー付き保存袋で1年保存する場合>
*これを冷暗所で保存し、夏まで待ちます。
第2回(天地返し)は、7月頃にお伝えします。梅雨明けに行う天地返しの方法と、その時の味噌の状態を紹介します。
このときカビが生えていたら、その手当もお伝えします。
レシピ協力:しらいしやすこ 撮影協力:原田真理 文:栗田さつき