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児童書は教育ツールかエンタメか。デザイナー視点で考察してみた

2019年9月11日
コラム
シバ

弊社がデザインを担当させていただきました「大迫力!都市伝説大百科」が発売されました。おかげさまで好調な売れ行きのようです。

振り返れば、このシリーズも随分長くなったな……と感慨深いものがあります。

第一弾は「大迫力!日本の妖怪大百科」

スタジオダンクにお世話になり始めた頃の仕事です。

第一弾は「妖怪」がテーマでした。イラストメインの本だということは聞いていたものの、児童書にしてはずいぶんと大人びた画風で驚きました。

児童書ジャンルにある妖怪の本は既に飽和状態でしたので、差別化を計ることは至上命題でした。少々トンがったものでもいいだろうという流れだったと思います。

ただ、同様のコンセプトで制作されただろう他社の本のデキが非常に良く、これと戦うのかとプレッシャーを感じたのを覚えています。

デザインのあしらいにピクセルデータのデザインパーツを多用し、誌面全体がイラストの一部であるような印象に調律していくスタイルで作成していますが、イラストに寄せすぎると暗い印象になりすぎるため、彩度を保つためのデータ分版に苦労しました。ゲーム関連のデザイン書籍を多くやっていた経験が活かせた形ですね。

児童書は親が子どもに買い与えるものである以上、親御さんにウケないものは売れないというのが一般論です。

しかし、個人的には「子どもがねだってでも欲しい本」であってほしいという想いはありましたので、デザイン的には割と好き放題にさせていただきました。

児童書としての側面

「エデュケーショナルや知育」という言葉や考え方が浸透した現代ですから、児童書には一方で教育ツールとしての役割が求められます。

そのことは理解しつつも、自身が学んだことの多くは「与えられた教育」の中だけにあったわけではなかったとも感じます。

純粋な興味や好奇心、そこから生まれる能動的な探究心や知識欲は何ものにも代え難い教育かもしれません。

とはいえ、親としては子どもの目に触れる情報を精査しなければならないのも事実です。

本シリーズは、子どもの興味を引くことを主眼としながらも、エンターテイメントだけに特化したものでもありません。

例えば「恐竜」は福井県立恐竜博物館さまに「日本の神々」は戸部民夫さまに監修いただいています。

ファンタジーだけもでない、事実だけを羅列したものでもない、絶妙なバランスの世界の中で想像を膨らませていただければと思います。

イラスト本としても秀逸

児童書としての側面が強い本ですが、イラストのクォリティーが高く、大人としてみてもイラストを楽しめる本になっています。

個人的には「天使と悪魔」がお気に入りです。まるでゲーム用にデザインされたかのようなイラストは、この本のためだけに作ったにしてはもったいないと感じるほどです。

興味のある方は是非一度、児童書の書棚に立ち寄ってみてください。

 

デザイン部としては一般実用書や教科書、カタログ、会社案内と幅広いデザインのお仕事をさせていただいています。その他どんな案件でも気軽にご相談ください!

 

シバ
気づけば40歳超えてました…。書籍のデザインに携わることが多いですが、媒体やテイストを問わずなんでもやってます。趣味はゲームなので、そっち系は得意かも。