ふだんは書籍やムックのデザインを担当している私の、いつもとは一味違う、滅多に関われない記念になるお仕事を紹介します。
それは、今年創立100年を迎えた金の星社さまのお仕事。
金の星社は1919年に設立され、今年11月1日で100周年を迎えた児童書の老舗出版社です。100周年の一環として、『金の星社 創業100周年記念 みる よむ あそぶ 金の船・金の星 こどもの本の100年展』を上野の森美術館で開催されました。
社の歴史、作品の原画、赤字の入った原稿などなど…歴史的資料から現在販売している書籍の解説まで、さまざまなものが展示されていました。
そして今回、そのイベントで販売された記念グッズのデザインを担当させていただくことに。
マスキングテープ、クリアファイル、ポストカード、トートバッグ、計4アイテム23種類をデザイン。美術館やイベントなどの物販ではおなじみのグッズたちではありますが、日頃、主に本を中心としたデザインをしている私にとっては、とても新鮮でした。
制作にあたっては素材としてデータをいただいていたのですが、
・原画が色画用紙の切り絵で作られていて正確な色が不明なもの
・素材の絵が本のサイズになっているためグッズのサイズと合わないもの
・ちぎり絵の絵本でキャラクターの輪郭がケバケバしているもの
などなど……通常の仕事ではあまり遭遇しないタイプのデータを扱うことが多く、キャラクターの可愛さにほっこりした気持ちになりつつも、悩むこと多し。
さらにその絵本やキャラクターの世界観をそこなわないように考えるのも楽しかったり難しかったり……。
展覧会へは初日にうかがい、展示を堪能させていただきました。
ダンボールで作られた機関車。こちらは『せんろはつづく』シリーズの鈴木まもる先生の力作。
先生本人が2日がかりで制作されたそうですが、大人が乗ってもビクともしなくて頑丈です。
そしてちょっとドキドキしながらいざ物販コーナーへ向かうと……
あまり広くはないスペースではありましたが、商品を手に取るたくさんの人たちを見ることができました。金の星社さまの担当の方から売れ行き情報も教えていただきながら、自分の手がけた仕事(作品)がお嫁に行く様子を目の前で見るという、嬉し恥ずかしな至福のひとときを味わうことができました。実際は「その子も連れてって~!」「あの子もオススメよ~!」とささやかすぎる目力で訴えていたのですが……。
ちなみに、すでに展覧会は終了していますが、マスキングテープとトートバッグはどこかの書店に置いていただいているようです。もしよろしければ「お宅の子にして~!」。