●本づくりと読者
読者のためになる本を目指して私たちは本の制作をしていますが、実際に本屋で、自分たちの本を手にした読者と出会うことはまずありません。
もしも運よくそんな場面に出くわすことがあったら、それは宝くじに当たったようなもの。どんな人が本を買ってくれているのか、覗いてみたいものです。
見えない読者と繋がっていると実感するときがあります。それは制作した本が売れたとき。イメージした読者に思いが届いた証しです。これぞ本づくりの醍醐味といえます。
●ブログへの嬉しい反応
先日のこと。私たちのHPのブログに、見えない読者から連絡をいただきました。
ブログは本の制作と違って読者を具体的にイメージすることはできません。社員一人ひとりが見えない読者に向けて、本の紹介や編集後記、時にプライベートのことなどを自由に発信しています。
そんなブログに対し、埼玉の越谷北高等学校の新聞部で活動している高校生が社員のブログ「裁判員裁判の体験」を読み、ブログを書いた人をぜひ取材させてほしい、そしてその記事を学校新聞に載せたいという依頼がありました。
ブログを書いた社員はすでに退職しておりましたので、会社としては元社員との橋渡し役となって高校生に協力しました。
●高校生からの依頼を受けた担当者のコメント
「取材の依頼はとても丁寧で、取材内容も具体的でスムーズに伝わりました。また、出来上がった新聞を送っていただき、添えられたお礼の文面もきちんとしていました。普段私たちが取材する側で行なっていることを、高校生が私たち以上に丁寧に手順を踏んでいることに大変感心しました」
●ブログを作る励みにしよう!
この高校生の話を聞いて大変感激しました。新聞づくりのために細かく幅広く情報収集されていること、そして我が社のブログに辿り着いてくれたこと。さらにその記事が学校新聞に掲載されたこと。ブログからの繋がりで、こんなに嬉しい体験は初めてです。
今回の出来事は、私たちがブログを作る上での大きな励みになりました。そして「見えない読者」に思いを巡らすきっかけにもなりました。こんな機会を作ってくださった高校生の方には大変感謝いたしております。
ふいに、金子みすゞの詩の一節【見えぬけれどもあるんだよ】が頭に浮かびました。