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入院中に本を読もうと思っていたけれど……

2023年7月14日
コラム
栗田 さつき

64歳になって人生で初めて病院への入院を経験しました。
病気のことはここでは触れませんが、予定より早く退院し順調に回復しておりますので、どうぞご心配なく。

初めての入院、しかも2週間という長期間、
ベッドの中でどうやって過ごすのか、どんな状態になるのか、全く想像できませんでした。
時間を持て余すことはないのか、ふとそんなことを思い、数冊の本をスーツケースに入れ病院に向かいました。

入院中だから気楽に読める本を選んでいるかもしれません。どれも大好きな本です。

病室に入り、身の回りの荷物を整理し、本もベッドの傍に置いて準備完了。
ところが実際には手術後2日間は身動きするのも辛く、
時間を持て余すどころか痛みに耐えながらただじっとしているだけ。
3日目、ゆっくり体を動かせるようになり、本に目をやる余裕が出てきたものの、
まだ本を読む気力は起こらず、結局、退院まで本に頼ることはありませんでした。

退院のお祝いにある方からお花を贈っていただきました。気持ちが明るく前向きになりました。

病院ではほとんど本を読めませんでしたが、家での療養中は本とともに過ごしました。
昔読んだ本でも改めて読み返すと忘れていたことや面白さの発見があって、新たな感慨を覚えます。

退院し会社に復帰して半月、ブログの担当が私に回ってきました。
退院後は静かに過ごす生活だったので、療養中に読んだ本を紹介するぐらいしか手がありません。
入院に向けて何気なく選んだ本。どれもよく知られた本なので読んだことのある人は多いかもしれませんが、
何度でも、面白く読んでいただけると思います。

「がんばりません」「ふつうがえらい」佐野洋子著 新潮文庫
佐野洋子のエッセイは、私はどの本も大好き。辛口と言われることが多いようですが、
私には笑いが多く、読んでいるうちに不思議と元気をもらえます。
テンポがよく、こんな文章を書けたらいいなあと、読むたびに羨ましく思う存在。
大ベストセラー「100万回生きたねこ」の作者としても知られています。

「向田邦子暮しの愉しみ」向田邦子/向田和子著 新潮社
向田邦子のライフスタイルを紹介したこの本は、私は20年も前から大事に持っていて、
時々、気ままにパラパラとめくっては繰り返し読んでいます。
料理、器、おいしいもの、旅……、暮らしぶりを通して生き方や考え方が伝わります。
素顔が垣間見える素敵な本です。
本の中の「向田邦子が選んだ食いしん坊に贈る100冊」も興味深く、
私はこの100冊を読破しようと思っていますが、まだまだ先は長いよう〜。

「レオナルド・ダ・ヴィンチの童話」小学館
3年くらい前に購入した本。
何しろ私はレオナルド・ダ・ヴィンチが童話、寓話を書いていたことを知らなかったので、
この本に出会ったときは宝物を見つけたように心が弾みました。
約70話のお話はどれも魅力に溢れ、少年少女向けの童話ですが大人の心にも刺さります。

レオナルド・ダ・ヴィンチの短い童話が沢山掲載されています。

「自分の感受性くらい」茨木のり子著 花神社
私は失敗したり不安だったり気持ちが沈みがちの時、茨木のり子の本を手にすることが多い。
ホントはこの度の入院のこと、強がっていても内心はとても不安だったのかもしれません。
この人の詩は、読むと背筋がシャンとして「よし、頑張ろう!」という気持ちになります。
作者の凛とした生き方が詩によく現れていると感じます。
本のタイトルになった詩の最後は鮮烈です。
「 自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ 」

「ギリシャ神話」石井桃子編・訳 のら書房
20代で初めてギリシャに行った時、古代遺跡に感動し圧倒され、
ギリシャ神話を勉強しておけばよかったと悔やみました。
30代でまたギリシャに行く機会があったのに、この時も神話の本すら読んでいません。
40代、ヨーロッパ旅行の拠点としてギリシャのアテネに飛行機で入る事になり、
このタイミングでようやくこの本を手にしました。
この本は、児童文学の作家・石井桃子さんの翻訳です。
子ども向けだが、大人でも読みやすくわかりやすい。オススメです。

栗田 さつき
編集一筋、だいたい30年(微妙なお年頃なので)。楽しい情報をいっぱいお届けします。